コース: クリエイティブな組織を作るには

脳の構造を知る

クリエイティブな企業には、 誰もが自分らしさを発揮し、 積極的にリスクに挑戦できる 組織風土が必要です。 ただ、つい相手を値踏みしたり、 あら探しをしてしまうのが 人間本来の習性です。 そういった反応を引き起こす 脳の構造なのです。 進化の途上で最初に発達した 脳の部分は、扁桃体と 大脳辺縁系であることが、 研究でわかっています。 この部分は、外界を感じ取って 危険や脅威に反応する役目を持っています。 偏桃体は爬虫類の脳にもあることから、 トカゲ脳などの俗称で 呼ばれることもあります。 クリエイティブな力に話を戻すと、 先史時代から暮らしが一変した今も、 偏桃体はそのままで、 外界の脅威に目を光らせているのです。 ただし今では、生存への脅威より 自我への脅威に反応する方が 多くなっています。 一般に、その脅威には3種類あります。 まずは安全への脅威です。 例えば、自分が管理する工程で問題が 見つかった時、自分の落ち度で 解雇されるのではという不安に陥ると、 「戦うか逃げるか反応」が起き、 気付かれないうちに直してしまおうと 奔走します。 そして所属意識への脅威にも、 偏桃体は反応します。 たとえ革新的な発想が浮かんでも、 同僚や上司から理解されそうもないと、 伝えることをためらい、 発想は日の目を見ないのです。 最後はコントロール感への脅威で、 自分の意見に反論が出た時に 感じるものです。 例えば、プロジェクトに基づく提案を 発表する席で、 結論に疑問の声が上がったとします。 これに偏桃体が反応すると、 弁解や反論といった防戦モードになります。 これらの脅威はクリエイティブな 力を妨げます。 例として、ほかの人の意見を聞く 機会が失われたり、 発想が封殺されたり、 異なる見方や新たな意見が 生かせなくなります。 クリエイティブな力を育てたいなら、 脳のこのような反応の仕組みを 全員が知り、意識することが重要です。 反応のトリガーがわかれば、 意識を変えることができます。 対策法を学ぶには、まずあなた自身の 反応傾向を観察してみましょう。 日常に潜むトリガーを見つけ、 自分の反応パターンが理解できれば、 クリエイティブな関係性を保つ 助けになるでしょう。

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