コース: 学ぶ習慣を身につけるには

学習のためのスキル

初耳かもしれませんが、人が学ぶときは、 3種類のスキルを磨いています。 これらのスキルの仕組みを理解するほど、 学習者として成長できます。 ウェブページのデザインを学ぶ場合を 考えましょう。 デザインの原則や、 HTML(エイチティーエムエル)や CSS(シーエスエス)のような マークアップ言語も知る必要があります。 デザインと問題解決、 時には絵を描く練習も必要です。 てきぱきと作業をこなす方法も学びます。 20世紀半ばのシドニー・ファインの 功績により、これらのグループは、それぞれ 別種のスキルであることがわかっています。 1つ目のスキルは「知識」です。 知識とは、特定の分野や活動を学ぶうえで 収集する、ひとまとまりの情報です。 ウェブページのデザインの原則を知ったり、 レシピを覚えたり、 車のエンジンを設計したり、 感動的な話の書き方を学んだなら、 その知識体系が頭にあるということです。 ただし、レシピを覚えても車のエンジンは 設計できないように、知識は その特定の分野に定着するので、 転用しにくいものです。 幸いにも、2つ目のスキルとして、 異なる状況間で 「転用可能なスキル」があります。 ウェブページのデザインが得意であれば、 雑誌のデザインもうまくできるでしょう。 しかし、転用可能なスキルは自分ではなく 自分以外に作用するスキルなので、 自分自身の管理に使う 3つ目のスキルがあります。 このスキルは「特性」と呼ばれます。 約束の時間を守る、作業を仕上げる、 怒りを抑えるなどの能力です。 これらの特性はスキルであり、一人ひとり 得意なものと得意でないものがあります。 これで、「知識」、「転用可能なスキル」、 「特性」が揃いました。 学ぶときは、これらの1つ以上を磨きます。 たとえば、時計の分解方法を学ぶ場合、 「知識」は、時計の設計と、 部品の組み立て方です。 「転用可能なスキル」は、「手を使う」、 「細部に注意する」、などの能力です。 「特性」は、集中力や忍耐力などです。 そのため、今後、 受けるコースや読む教科書、参加する トレーニングセッションについて考える 場合は、学習目標を次の3つの カテゴリーに分けてみてください。 1つ目は、どのような新しい「知識」を 得るのかです。 このカテゴリーでは、特定の分野に定着した スキルとして何を学ぶのかを考えます。 次は、どのような 「転用可能なスキル」を学ぶのかです。 さまざまな状況で使えるスキルを、 どのようにして磨きますか。 ここでは、そのスキルが「分析」、 「社会化」、「設計」、あるいは 「学習」など、動名詞で表されるもので あるかどうかを考えます。 3つ目は、どのような特性を 継続して伸ばすのかです。 その学びの機会を通じて、 「作業を仕上げる」、「人と連携する」、 「高いハードルを設定する」などの能力を 高められるでしょうか。 最高の自分を目指し、どのようにして 人としての改善を続けますか。 これで、あなたは、知識だけに的を絞った 従来型教育の限定的なアプローチではなく、 わずかな人しか持っていない認識を 身につけられました。 3種類のスキルすべてを意識しながら 学べるようになったのです。 大量の情報を頭に詰め込むのではなく、 学びの道のりを歩みながら、 3種類のスキルすべてを磨いてください。

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