コース: 第4次産業革命(インダストリー4.0)の基礎

AIについて

AI の普及と急速で複雑な進化は、 第4次産業革命の決定的な特徴と 言えるかもしれません。 AI の開発は 1950 年代から 行われてきましたが、 ついに実用に足る普遍的な機能を 備えました。 AI もまた、現在最も誤解が多く、 過小評価されている テクノロジーの1つです。 多くの人が、 『2001 年宇宙の旅』の HAL 9000(ハルきゅうせん)や 『スター・ウォーズ』の C-3PO(シースリーピーオー)を つい思い浮かべてしまいます。 さらに言えば、よく使われる AI という用語は、 数種類のテクノロジーの総称です。 ここでは AI の性質について 簡単に説明しますが、詳細は ほかのコースをチェックしてください。 現在、AI はどのように 定義されているのでしょうか。 私が気に入っている定義は、 「人間の思考を再現するマシンの能力」 というものです。 ほかの定義も多少の差は あれほぼ同じ内容です。 人間の行動をマシンで 再現できるという考えは、 AI 研究開発の中核に据えられています。 だからといって、必ずしもマシンに 意思や感情を持たせることを 目指しているわけではありません。 この話はひとまず横に置いておいて、 未来の哲学者、倫理学者、政治家、 イノベーターに任せましょう。 AI の当面の目標をより的確に表すと、 コンピューターで視覚分析を使用して デジタル写真に含まれる被写体を認識し、 説明できるようにすることです。 簡単に聞こえますが、 実現は非常に困難です。 とはいえ、目標には着実に近づいており、 視覚と音声の解釈は、 ここ数年で飛躍的な成果を上げました。 もちろん、私たちの期待は 急速に膨らみ続けます。 これらの実例は、 現在の AI を未来の可能性の延長線上に 置くのに役立ちます。 数十年にわたる取り組みの末に訪れた 近年の AI の台頭は、 第3次産業革命と第4次産業革命初期の 必然的結果です。 これらの革命は デジタルトランスフォーメーションの 成果であり、それに付随した動きです。 さらに、いくらかの数学、科学の進歩、 少しの幸運も加わっています。 IBM の投資によって人間をチェスで 打ち負かすマシンが生まれ、 同様の壮大な取り組みによって A Iイノベーションがもたらされました。 このレッスンでは、現在の AI の仕組みを詳しく解説することは 割愛しますが、 いくつかの基本概念を紹介します。 AI は、特定の状況で実行する プロセスを記述した「アルゴリズム」と 呼ばれる一連の命令で構成されます。 例えば、「もしこうなら、これをする」、 「もし雨なら、 スプリンクラーを動かさない」 といった具合に、条件と行動からなります。 AI の機能として不可欠な要素は、 考えられるすべての状況を事前に 定義する必要がないということです。 コンピューターが、パターンや繰り返し 現れる結果を見つけられることが重要です。 これを実現する方法の1つが、 「機械学習」を使用することです。 AI プログラムで写真の中の自転車を 識別する必要がある場合、 コンピューターに全種類の自転車を 見せることは不可能です。 しかし AI が、与えられた大量のデータから 「2つの輪が近接しているものは 自転車の可能性が高い」という パターンを見つけられれば、 将来的に自転車を識別できる 可能性が高まります。 機械学習の精度はデータが多いほど 高まります。 ディープラーニングと呼ばれる 機械学習の分野では、 画像、音声、顔認識といった 機能を利用できます。 皆さんの想像どおり、 AI の研究と応用は幅広いうえに 複雑です。 主な開発分野としては、問題解決、 認知、計画、ロボット管理などが 挙げられます。 AI は、知識の拡大と進歩が 急速なだけでなく、以前よりも 格段に利用しやすくなっています。 IBM、Google、Amazon、Microsoft などの 主要なプレーヤーに加え、 多数のスタートアップ企業の ソリューションを 比較的簡単に利用できるため、 組織は自社の製品やサービスに AI を取り入れやすくなっています。 AI アプリケーションの一種である チャットボットは、人間と コンピューターのやり取りを可能にします。 基本的な会話を シミュレーションできるため、 カスタマーサービスのコストを 削減できます。 チャットボットは、機械学習と 自然言語認識の両方の進歩によって さらに価値が高まっています。 AI は人間のためにさまざまな価値を もたらしますが、いくつかの重要な課題を 生み出す可能性もあります。 高度な AI を搭載したロボットや機械は、 人間のタスクをより速く、より安く、 よりよい結果で実行するようになるでしょう。 そして間違いなく、人間がやるべき 仕事を変えるでしょう。

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