コース: AI 入門

アルゴリズムを学ぶ意味

コース: AI 入門

アルゴリズムを学ぶ意味

ビッグデータの爆発的な増加と、 アルゴリズムのめざましい進化に 後押しされ、機械学習の人気は AI の中でも飛び抜けています。 機械学習とは、データから学習する さまざまな手法の総称です。 細かいプログラミングを要する 初期の AI からは大きく進化しましたが、 あるのは、何にでも使える 万能機械学習プログラムではなく、 目的別の多様なアルゴリズムです。 その多くは、統計学の知識を 応用しています。 それぞれのアルゴリズムは、 いわば調理器具のようなものだと 思ってください。 包丁は材料を切るため、 スプーンは混ぜ合わせるために使いますが、 別の使い方を個々に工夫してもいいのです。 料理人によっては、にんにくを潰す 道具として包丁を使ったり、 スパゲティを美しく盛り付ける道具として スプーンを使ったりすることもあります。 カード利用者に各種キャンペーンを 案内する会社の例を紹介しましょう。 この会社はまず、教師あり学習を使って 利用者を2つのグループに分類しました。 すでに解説した2項分類です。 キャンペーンを利用したことが あるかないかで顧客をラベル分けし、 機械学習アルゴリズムにかけて 2項分類の訓練を行います。 続いて、2つに分類された顧客データを、 教師なし学習にかけました。 キャンペーンを利用したことがある 顧客のデータをクラスタリングすることで、 何か見えてこないだろうかと考えたのです。 教師なし学習は、私の息子が初めて見る お菓子を新しいグループに分けたように、 データから機械が独自にパターンを 発見していく手法です。 その結果、キャンペーンを 利用したことがある顧客の中に、 毎回必ずキャンペーンを使う顧客の クラスターが存在することがわかりました。 会社はこのクラスターを、 キャンペーンスーパーユーザーと 命名しました。 キャンペーン企画を成功させるために 工夫を重ねている会社にとって、 この層を把握できたことは とても幸いでした。 毎日の買い物やサービスに キャンペーンを駆使し、 差額に敏感なこの層だけに、 特別にキャンペーンを追加するよう アルゴリズムを変更したところ、 キャンペーンの総合成績は大幅に 向上しました。 2種類の機械学習を併用した この事例からわかるように、 アルゴリズムの中にも、 教師あり学習による分類に 適しているものと、 教師なし学習のクラスタリングに 適しているものがあります。 ここからしばらく、 代表的な機械学習アルゴリズムについて、 それぞれの強みや弱みを 学んでいきましょう。 必要な計算処理能力や結果の精度は、 アルゴリズムによって異なります。 多くのアルゴリズムは、 相性のいい学習手法がどちらかに 決まっていますが、 両方に使えるものもあります。 料理と同様、出来ばえは道具より 素材の質で決まります。 データを最大限に生かせる アルゴリズムを選んで組み合わせましょう。 これから学ぶ機械学習アルゴリズムは、 ほとんどの機械学習用ツールキットに 入っています。 それぞれの創意工夫で 上手に使いこなしてください。

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