コース: AI 入門

パターン認識とは

コース: AI 入門

パターン認識とは

機械学習システムが この 30 年で AI の主流になったのは、 膨大なデータからパターンを 見つけ出すための仕組みが、 非常にうまくできているためです。 デジタルデータの入手が 容易になったことも追い風でした。 犬を識別する AI システムを作りたい場合、 今は犬の画像がいくらでも手に入るので システムに大量に読ませて 犬の見分け方を学習させることが容易です。 画像データだけでなく 動画、音声、文書のデジタルデータも 豊富です。 かつてはデジタル写真のデータを 収集するだけでも非常に困難でしたが、 今ではあらゆるデータが 簡単に手に入るのです。 機械学習システムが何かを 習得するためには、 多くのデータが必要です。 読み込むデータが多ければ多いほど、 パターンの識別も容易になります。 例えばあなたが見ている LinkedIn ラーニングは、 オンラインでコース動画を視聴して 学習できるサービスですが、 動画プレイヤーは、ユーザーが途中で 内容を飛ばしたり再生をやめたりすると、 それをデータとして記録します。 すべてのユーザーと動画について 記録していくと 全体で膨大な量の視聴動向データが 集まります。 こうしたデータを人間が見て、 利用パターンを突き止めるのは大変ですが 機械学習システムなら、 膨大なデータからパターンを抽出して、 関心の高いコンテンツを 割り出すことが可能です。 多くの企業が求めているのは、 まさにこのような リアルタイムの顧客側の 利用動向がわかるデータなのです。 このようなデータには、 自社の顧客のさまざまなニーズだけでなく、 市場全体の幅広い動向も 読み取ることができるという、 きわめて高い価値があります。 ニーズに合わせて 新たなプロダクトを作り出したり、 既存のプロダクトを 改善したりすることができるからです。 Google や Microsoft といった 企業が AI 活用に積極的なのも、 膨大なデータを機械で読み解くことを ビジネスの柱にしているからなのです。 例に挙げたようなパターン認識の力は、 競争力に直結します。 最近では、人工ニューラルネットワークの 処理力がさらに向上し、 これまで以上に大規模な データセットを使ったパターン認識が 可能になっています。 ほんの 20 年から 30 年前までは、 機械学習アルゴリズムを使っても 見えなかったパターンが、 見えるようになったのです。 一方で、パターン認識の仕組みが 人間には理解できないという 問題も起きています。 処理過程が人間の情報処理のレベルを超えて 巨大なブラックボックスのように なっているのです。 ですから、これから AI を 活用していこうとする企業は、 AI ネットワークが人間には わからないものを認識しているかも しれない事実を受け入れる必要があります。 ほとんどの企業にとっては 簡単なことかもしれませんが、 保険業界や医療業界などでは 難しい問題になる場合もあるでしょう。 顧客の生命や安全に関して 理解不能な決定を AI が 下すことは許されないからです。 AI と人間の知能は別物です。 両者の結論が一致したとしても、 そこに至るプロセスは大きく異なるのです。 あなたの会社はどんなデータを集めて どう解析していますか。 機械学習で解析しているなら、 どんな目的でどんなパターンを 調べていますか。

目次