コース: AI 入門

人工ニューラルネットワークとは

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人工ニューラルネットワークとは

人工ニューラルネットワークは、 機械学習の 可能性をさらに大きく広げました。 人間の脳の構造をまねた AI システムで、 近年の機械学習において 最も高い注目を集めている技術です。 単純に言うと、 子供の物当てゲームのような仕組みです。 子供の1人が思い浮かべたものを、 ほかの子たちが質問をしながら 当てていきます。 例えばこんな感じです。 「体毛はありますか」 「家より大きいですか」、 「生きていますか」「音はしますか」。 出題者はそれぞれの質問に、 「はい」か「いいえ」で答えます。 子供たちはそれを聞きながら 答えを絞っていき、 最終的に、「馬ですか」 「猫ですか」「犬ですか」などと 当てるのです。 人工ニューラルネットワークの アプローチもこれと似ているのですが、 「はい」か「いいえ」の質問ではなく、 数値が変わるダイヤルを無数に使います。 出てくる推測も子供の遊びより 厳密で、例えば 「猫である確率が 64%、 犬である確率が 32%」 といった形式になっています。 ネットワークの構造を見てください。 画面の図の左側には、入力層と呼ばれる ニューロンが並んでいます。 右側には、出力層と呼ばれる ニューロンが並んでいます。 その間にあるすべてのニューロンは、 隠れ層と呼ばれています。 入力層でも出力層でもないという意味で、 隠れ層というのです。 最初に、犬の画像をこの入力層に 読ませてみます。 人間はこの画像が犬であると知っていて、 そのようにラベリングしていますが、 このラベルはニューラルネットワークが 推測を出すまで参照されません。 例に挙げた子供の遊びのように、 可能性を絞り込みます。 ネットワークは隠れ層に画像を送り、 細かいドットを1つひとつ調べて 導かれた推測を出力層に渡します。 仮に、「この画像には 10%の確率で 犬が含まれている」という 推測が出たとしましょう。 ネットワークはその推測をラベルと 照合します。 これをニューラルネットワークの 訓練といいます。 ネットワークはこの結果に基づき、 犬の画像からパターンを識別できるように ニューロンのダイヤルを調整します。 このネットワークに、 別な犬の画像を読ませて、 精度が上がったかを確かめます。 この訓練を大量の画像で行いながら、 ネットワークの調整を繰り返し、 安定して高い精度で犬の識別が できるように、ダイヤルを調整します。 ネットワークによる犬の見方は、 人間のそれとは違います。 体毛や吠え方などの特徴ではなく、 画像に含まれるドットのパターンから、 犬の特徴を識別しているに過ぎません。 犬にあるドットのパターンを見て、 犬である確率を出すのです。 人工ニューラルネットワークも 機械学習の一種なので、 大量のデータを必要とします。 犬の画像が膨大に入手できないと、 ネットワークは犬の見分け方を 学習することができません。 人工ニューラルネットワークの最大の メリットは、膨大なデータを取り込んで パターンの識別を自ら学習できる という点にあるのです。

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