コース: AI 入門

伝達路の重みを調整する

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伝達路の重みを調整する

予測精度は、データに重みづけを 行ったり特徴量を 調べたりすることで高まります。 ここに、緑豊かな草地の 写真があるとします。 そこには、ぼやけた何かが写っています。 これが犬である確率は どの程度だと思いますか。 次に、灼熱の砂漠の写真があるとします。 ここにも、ぼやけた何かが写っています。 これが犬である確率は どの程度だと思いますか。 人は普通、犬がいるとすれば 砂漠より草地の方である確率が 高いと考えるので、 脳の神経結合は草地の写真に正の重み、 砂漠の写真に負の重みを加えます。 人工ニューラルネットワークも同様に さまざまな確率を 考慮に入れる必要があります。 砂漠に犬がいる可能性も 皆無ではありませんが、 そこは慎重かつ現実的に 判断しなければならないでしょう。 データをできるだけ正しく 解釈できるように、自ら設定を調整します。 自動調律する楽器のようなものです。 例えばギターなどは、 音を鳴らしながらつまみを回して 調律しますが、 人工ニューラルネットワークにも、 ニューロン同士の接続の重みづけを 変えるつまみがあります。 重みづけは、1つの層から次の層へと データを伝達するごとに行われ、 隠れ層のニューロンは、 それぞれ次の層にデータを伝達します。 各層に 100 のニューロンが あるとするなら、それぞれから 次の層への伝達路も 100 本あります。 このように数が多いだけでなく、 それぞれの伝達路ごとに重みづけが 異なります。 ニューラルネットワークの図解で、 伝達路に W と数字を組み合わせた 記号がついていることがありますが、 先ほどの例なら、W1、W2、 W3 と続いて、W100 までの 記号がついた伝達路が、 個々のニューロンから次の層に 伸びているわけです。 この伝達路ごとの重みづけが、 人工ニューラルネットワークの 自動調整の鍵を握っています。 人工ニューラルネットワークも、 教師あり学習の一種なので 同じ手法を使って ネットワークの訓練を行います。 教師あり学習では、 まず訓練データを使った学習を行い、 正確な予測が可能になったら、 より多くのテストデータで検証します。 この手順は、人工ニューラルネットワークに おいても同じです。 ニューラルネットワークを初期化すると、 システムはまず、各伝達路に ランダムな番号を割り当てます。 続いて訓練データを読ませると、 システムは出力の正誤に応じて 重みづけを調整していきます。 パターンを正しく認識して 出力できるようになるまで、 ネットワークはこの調整を繰り返します。 最も高い精度で認識できる組み合わせを 見つけ出していくのです。

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