コース: AI 入門

機械学習システムとは

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機械学習システムとは

プログラミングが不要で 人のように学習する コンピューターがあったらどうでしょう。 初期の AI システムは、 記号システムを使っていました。 記号の認識ができれば、 知能に近づくのではないかと 考えられていたからです。 エキスパートシステムは、 その名のとおり、専門家の膨大な 知見を組み込むことが必要でした。 この手法は結局、組み合わせの 膨大さによって行き詰まり、 知性をプログラミングする代わりに、 観察することでシステムが 自ら知見を広げられないか、 という研究が始まりました。 システムには感覚器がありませんが、 データを認識して学習することは可能です。 1959 年、アーサー・サミュエルという 研究者が、チェッカーの自己対戦をしながら 戦術を学習するプログラムを作りました。 白黒両方の駒を動かし、 展開を観察しながら戦術を学ぶのです。 人間から戦術を プログラミングされていなくても、 自己対戦を何度も繰り返すうちに 自分で勝ち方を覚えていきました。 サミュエルはこの手法を、 機械学習と名づけました。 記号システムとは違って、 白側と黒側の打つ手は プログラミングされていません。 システム自体が学習しながら 改善していく仕組みにしたのです。 多くの戦術を習得したシステムは、 短期間で作者もかなわない 腕前になりました。 機械学習は AI の潮流を変える 一大発見でしたが、 1つだけ問題がありました。 1950 年代には、まだデジタルデータが ほとんどなかったことです。 機械学習はデータを認識して学習するので、 ゲームのように簡単な パターン学習しかできなかったのです。 しかし 1990 年代に入って、 インターネットに大量のデータが 出回り始めると、 機械学習システムも 爆発的な成長を始めました。 おびただしい量のデータは、 乾燥した AI の畑に 降り注ぐ恵みの雨のように 機械学習システムを潤し、 さらに高度に進化させました。 猫の見分け方を学習させたいなら、 オンラインで何百万もの画像に アクセスすることができます。 新しい機械学習アルゴリズムも 次々に考案され、 人の脳の構造をまねたシステムを開発する 研究も始める学者もいました。 機械学習システムの大きな強みは、 データが増えればどんどん 成長していけることです。 新たなパターンが見つかると、 システムはその情報に適応するからです。 その一方で、機械学習といえども、 パターンを認識するだけの システムであるという 従来同様の限界があることは、 意識しておく必要があります。 近年、AI 分野の中でも 機械学習の発達は特にめざましく、 データの増大も手伝って、 将来への期待もさらに大きくなっています。 毎日膨大に新しいデータが 収集されている現在、 こうした豊富な情報をどう活用するかが 問われる段階になっています。 いろいろな情報があらゆる角度から データ化され、AI システムに 分析される時代を迎えたのです。

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