コース: データサイエンス入門:基本を理解する

データサイエンティストを定義する

コース: データサイエンス入門:基本を理解する

データサイエンティストを定義する

データサイエンティストとは、 どんな人でしょうか。 実は、他の科学系の肩書ほど 明確な定義はありません。 例えば気候学者は、 定められたカリキュラムがあり、 その学位を取得した人です。 データサイエンティストという言葉は、 学科が開設されるよりも前に広まりました。 現在もさまざまな分野の人が データサイエンティストを名乗っています。 データサイエンスの分野は、 まだ整理の途上にあります。 初期の考古学に少し似ています。 何かを発掘していれば、 誰でも考古学者を名乗ることができました。 いま考古学者になるには、 大学を出て何年も研究に 携わる必要があります。 それと同じように、 現在のデータサイエンスは実務が中心で、 データを科学的手法で扱っている人が データサイエンティストです。 そう名乗るかどうかは その人次第というわけです。 ただ、その中でも、 より適している人たちはいます。 統計学者やデータアナリスト、 生物科学に携わる人は、 データや科学に重きを置くという点で データサイエンティストの名に ふさわしいでしょう。 初期にデータサイエンティストを 名乗った人の中には、数学者もいれば、 システムや情報工学の人、さらには ビジネスや財務分野の人もいました。 数値を扱い、 データに関する知識が少しあれば、 簡単に名乗ることができました。 ニーズの高まりを受けて、 データサイエンティストの標準の スキルセットを確立しようという 動きが大きくなっています。 今はまだ確立されていないので、 その名にふさわしい人もいれば そうでない人もいるのが現状です。 データサイエンスでは、 データではなく科学に重点を置きます。 そして経験主義を適用します。 実験と問いを通じて データに反応するという意味です。 私たちはいつも無意識のうちに 経験的アプローチを取っています。 データサイエンティストは 毎日行っています。 経験的アプローチでは、 知識と実践を組み合わせます。 経験的アプローチとは何か、 例を挙げて説明しましょう。 私は移動する機会が多く、 さまざまなホテルに泊まり、 異なるスタイルの浴室を利用します。 ホテルの蛇口や備品はさまざまで、 いつも驚かされます。 ホテルで苦労することの1つに、 シャワーがあります。 まず、どうやってシャワーからお湯を出すか という問いを立て、実験します。 あるボタンを押すと湯船に水が溜まります。 別のボタンを押すと シャワーから水が出ます。 水が出たら、今度は水の温度です。 ハンドルを使って調整します。 1つを大きくひねると熱くなり、 もう1つをひねると冷たくなります。 ちょうどいい温度になるまで、 問いと評価を繰り返します。 水を適温にする理論を熟考したり、一か八か 浴びてみたりすることもできますが、 体が冷え切ったり、火傷したりしそうです。 データサイエンティストは常に データに関する問いを立て、 微調整して洞察が得られるか確認し、 そしてハンドルを回して さらに問いを立てます。 データサイエンスはまだ流動的な分野で、 さまざまな背景を持つ人が データサイエンティストを名乗っています。 科学的手法に重点を置くこと、 経験的アプローチで データから洞察を得ること、 データではなく科学を重視すること。 現状ではこれが良い データサイエンティストの条件でしょう。

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