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Slack でコラボレーションを改善

1922 年創立の英国放送協会 (BBC) は、世界最古の国営公共放送局です。英国・ロンドンをはじめ、北京、ロサンゼルスなど世界各地の支局に総計 2 万人以上が働く同局は、スタッフの人数でも世界屈指の放送局です。

iPlayer、Sounds、News、Sport、Weather、Bitesize、Childrens といった BBC オンラインサービスの制作・メンテナンス業務を取り仕切る BBC デザイン&エンジニアリング部門 (D+E) では、3,000 人のスタッフが日々の業務に数百の社内アプリケーションを活用しています。

とりわけオンラインチームでは、リアルタイムのコラボレーションツールを 20 年以上も前から業務の中核に取り入れてきました。初期は Telnet ベースのカスタムツール、最近の 10 年間は IRC の広範な活用など、その種類はさまざまです。こうしたツールは技術担当者が自宅で仕事をするため設計されたもので、コマンドラインインターフェイスと x509 証明書が組み込まれていましたが、高い技術力のないスタッフやデスクトップコンピューターを使わない人との間に壁を作ってしまい、様々なメンバーが一緒に働く制作チームには不向きでした。

さらに、チームのワークフローの効率化や運営面で不可欠な Jira や GitHub といったアプリケーションとは連係できないという欠点もありました。

そんな中で下層部から発案されたのが Slack でした。BBC の諸部門がすでにコミュニケーションやワークフローの効率化のために Slack を使い始めていたのです。Slack の人気と有効性を認めた D+E 部は、Slack の正規導入を決定。デジタルプロダクト業務に関わるチームが情報の共有とプロジェクトでのコラボレーションをより迅速かつ簡単に行えるようになりました。

Slack の導入とサポートは、デジタルチームがすでに使っている Confluence、Jira、GitHub などのツールを管理する小さなチームが担当しています。

Slack チャンネルで答えを見つけてよりスピーディーに問題解決

BBC にとって、2018 年 FIFA World Cup™ は非常に重要な転機でした。イベントの知名度や莫大な視聴率だけでなく、同局が初の超高精細 (UHD) によるオンラインストリーミングの試験放送を予定していたという背景があったのです。

世界最高の人気スポーツイベントの最中に新しい放送ストリームの立ち上げ試験を成功させるには、綿密なコラボレーションが不可欠でした。すべてを正しく機能させ、ストリーミングをスムーズに放映するには、エンジニア、デザイナー、開発者、編集や動画ストリーミングのスペシャリストなど大人数のチームが、キックオフ前から試合中にかけて密接な連携を取ることがカギでした。

こうした新しい試みには必ずあることですが、試験放送中は多数のインシデントに見舞われました。そのたびに各部署のメンバーが集まり、解決策を見つけ、修正方法をできるだけ早急に話し合うことが求められました。

こうした話し合いは、試験プロジェクトの着手から UHD 試験放送用の Slack チャンネルで行われました。BBC の慣例に従い、インシデント管理は共有の #operations チャンネルで行いました。

これまでコミュニケーションツールは技術チームだけのものでしたが、今や編集チームとモスクワにいる制作チームのコミュニケーションはすべてチャンネル内に一本化されました。とりわけインシデントの発生時に、制作チームに何をすべきかを伝える時のコミュニケーションがシンプルになりました。

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BBC は様々な方法で Slack を活用しています。大人数のチームや部署では各自のワークスペースに加え、特定の共有チャンネル (#operations や #change) も使っています。D+E 部ではこの他にも、#help-locator などの「help」チャンネルを活用しています。Locator は BBC Online が位置情報の検索に使用するウェブサービスで、位置に関するデータを返します。あるサービスの使い方について質問がある場合は、そのサービスのチームメンバーが常駐する専用の help チャンネルにメッセージを投���できます。

BBC が局外のパートナーを Slack に招待してコミュニケーションギャップを解消

BBC は、多くのパートナーやサプライヤーに支えられながらデジタルサービスを運営しています。このため、運営チームは自局のシステムだけでなく、パートナーのネットワークについても視聴者に影響を及ぼす状況を確認しなければなりません。そこで BBC は、特に主要なイベントの開催期間はこうした組織とのコミュニケーションを Slack に移行し、マルチチャンネルとシングルチャンネルのゲストアカウントを使うことで円滑化しました。BBC はこれらのアカウントで外部パートナーがアクセスできる Slack チャンネルを管理しています。

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今は関連チームのメンバー全員が 1 つの Slack チャンネル上で図やグラフを監視できるようになったので、運営チームは潜在的な問題を前もって洗い出し、対策を話し合うことができるようになりました。

中核的な戦略パートナーを含む多くのスタッフの日々のワークフローに Slack チャンネルを取り入れることで、適切なチームやメンバーに質問をしたり、使える情報が Slack に蓄積され、いつでも簡単にアクセスできるようになりました。

カスタムボットでマニュアルプロセスを自動化して新人研修に活用

大組織ならどこでも、一人前の仕事ができるようになるまで時間と忍耐が必要ですが、BBC は新人を支援するカスタムボット @chas を開発し、わかりやすく便利な情報を自動で送信しています。

新人が Slack に参加すると @chas から歓迎のダイレクトメッセージが届き、続けて Slack の使い方や特定のチャンネルの目的に関する情報も送信されます。入局研修の後も、Slack の便利な使い方など、役立つアドバイスが @chas から定期的に届きます。

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部署内のデジタルナレッジの管理だけでなく、物理的なプロダクト管理にも Slack が役立っています。例えば、幼児向け番組制作チームは多種多様なテスト機器を使っており、他の部署への貸し出しも行っています。こうした機器の返却を求める際、どこにあるのかすばやく簡単に見つけられる仕組みが必要でした。

以前こうした情報の管理は、手間がかかるスプレッドシートで行っていましたが、機転の利く数人のエンジニアが Slack の API を使ってバックエンドデータベースに接続し、機器がどこにあるかを Slack に直接返すカスタムインテグレーション (@Devicebot) を開発しました。

その結果、誰かが @Devicebot に「iPad2 はどこ?」といった質問をすると、ボットがデータベースを検索し、Slack に「iPad2 は TV プラットフォームチームの書庫にあります」といった答えを返します。こうして、これまでかかっていた時間と手間を大幅に節約できるようになったのです。

透明性の向上、コラボレーションの強化、情報の共有でチームの仕事を効率化

@Devicebot はほんの一例にすぎませんが、透明性の向上と情報へのアクセス強化という BBC の大きなトレンドを示しています。いずれも、チームの絆を強め、仕事の効率を高める上では欠かせない点です。Slack の導入により、D+E 部は問題が発生した時に誰に問い合わせたらいいか頭を悩ませることが大幅に減りました。チームのニーズに合わせてカスタマイズできるコラボレーションハブが中心にあることで、以前に比べてよりスピーディに問題を解決できるようになりました。一方の視聴者は、お気に入りのイベントの TV 中継を普段どおりにゆったりと楽しんでいます。 [# /]